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日記

 

 

 

 

 

 


死を思うことが世界のどこかの誰かに失礼なことは

とうの昔に理解している

伏せ字にしたいほど不衛生な気持ちと

身体の真ん中で赤黒く変態するウニが暴れて

それの鳴き声が聞こえたら何かを壊したくなる

磨りガラスの向こうで誰かが見ているから

南のほうは見るのが怖い

掘削機が喉に詰まって息がしづらい

救急車を呼ぶにもそれは非常識だから

ゆっくり歩いて池でも見て帰りたい

よく寝るがよくならず

こっち見んなってお互いに思っているうちに

知らぬところで咲く花火に目を奪われ

遅れて来た救急隊員も呆れるほどの浅ましさ

走馬灯はあの月と海だけでいい

責任を持つというのは身勝手な心

無い天井を見て最上階を知ろうとする

頭の中でおとなとこどもが殺し合い

肥えた虫が周囲を跳ねて這いながら

それを貶し煽り続けるのを見て

部屋の外に出るのが怖くなった

自分が誰かわからない道化者

つめたい場所に行きたい

私の欲はすべて根底に諦念と逃避願望がある

より優れた精子が一着として私になるべきだった

極めて微かな神秘と呼ばれる何かが

違ってくれたなら傍観者は居る必要がない

脳に膜が貼っていてはっきりとせず

真っすぐに破滅することもできず

夢を見ている間だけ加護を受けた気になって

恨めしさと羨ましさの違いをはっきりと説明できないまま酒を飲む

常にやさしくいられない人間が蔓延していいのか

正しさとか求めてると振り向いたら寿命

何かを守ったような気になって

愚かな錯覚が錯覚であり続けるように

いつも丁寧に修繕している

それはもう光速移動した際の残像で

残っているのは手垢と美化された記憶なのに

笑っているのは誰なんだよ

恥や不安を全部投入して炊いた煮物が

脳や心で分裂を繰り返していて困る

こうして言語化すること自体恥ずかしく

自分が自分であることに耐えられない

ああ、お星さま

汚れた肉体も精神もずっといらなくて

ただ雪のようにつめたく清潔になりたかった

猛暑の日々が続きます