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日記

 

 

 

 

思考がとまる 

たましいが、自分の体からぐんぐん離れる 

ゆっくりと沈み続けたり、浮き続けたりする 

それでいて、 

夕焼けがずっとつづくような、 

水面が一斉に黙ったような、 

時間の停止を感じる 

こわい 

 

誰かわからない人たちが、 

誰かわからない肉体の話をしている 

いろいろなことに確証がもてなくて、 

へんなかんじがする 

重いのか軽いのか、ふしぎ 

 

今年も、もうすぐ終わるらしい 

頭がへんなまま過ごしてしまった 

行動もした気がするが、よくわからない 

へんだ 

ほんとうのところ、ほぼ記憶がない 

なにもしてないから 

 

まちを歩く健やかそうな人も、 

家に帰ると自分の頭を殴ったりしている 

たくさんのひとに愛されている人も、 

ある日とつぜん心臓がとまったりする 

悲しみを抱えた知らない人と、 

血のつながった親族とだと、 

前者を、おもう 

 

こわく、ふしぎなことばかりで、疲れる 

得体の知れない人間という生きものや、 

どうにもならない事象について考えてしまうのは、 

自分に向けられた呪いなのかもしれない 

または、与えられた罰 

その、両方 

罰せられるべきとはおもうけれど、 

審判を下す人たちの正体くらいは知っておきたい 

気づかないようにしていたけれど、 

真摯にいのちと向き合うことはバカバカしい 

きっとね 

 

生きることを恐れて嫌っているのに、 

いまも息をしているのは、これまたふしぎ 

どうしてなのか、わからない 

わからないことばかり 

いのちを捨ててしまいたくても、 

希望とも呼べないほどの、 

存在しない、ちいさなちいさな光を、 

追うしかないのだ

 

ねこという生きものは、すてきだとおもう 

観察していると、 

あらゆることを理解しているように見える 

生き急いだり、自分を攻撃したりしない 

自分を守り、自分が穏やかに過ごせるように、 

本能的にやさしく、つよく、行動している 

飼い主のように、考えすぎてへんになることはない 

愛をつたえ、愛をうけとり、ゆっくりと生きる 

自分が理想としているやわらかい生き方は、 

ねこの生き方に近いと感じた 

 

だからといって、すぐに生きることに前向きにはなれない 

自分の存在が気持ち悪く、不快でたまらないから 

そうして生きてきてしまっているから 

自分はもう、どうでもいい 

できるだけはやく死んでほしい 

でも、ねこは、ちがう 

できるだけやさしく、 

あたたかく、しあわせに、 

いのちを終えられるように、 

できることはなんでもしたい 

 

自分自身にも、そう思える日はくるのでしょうか 

すべてのいのち、よいお年をお迎えください